空き家のリフォーム・リノベーションは、いつやるべきなのでしょうか。
もちろん、立地や環境などさまざまな要因で、家屋の劣化のスピードは差が大きいでしょう。しかし、大体どんな兆候が出てきたらリフォーム・リノベーションを検討するべきなのかという大体の時期目安は知っておきたいところですよね。
今回は、家屋の場所別・リフォームの目的別に時期の目安と、そしてリフォームで「できること」も併せて解説していきます。
水まわりのリフォーム時期
キッチンのリフォーム時期とできること
キッチンのリフォーム時期の目安は10年以降です。とはいえ水まわりは1日で使用回数も多い部分で、汚れや不具合を感じることも多いでしょうから、もしも使っていて問題を感じるようになってきたら、むしろその時期がリフォームに適した時期ということです。
たとえば排水口の流れが悪くなってきた、キッチンのあちこちから異音がする、など、使用には支障ないからと放っておくと、結果的に大掛かりな修繕が必要な状況にまでなってしまいます。設備自体丸ごと取り替え、というような事態になる前に、対処しておきたいですね。
また、キッチンは最新の設備に替えることで、使い勝手が大幅に良くなる箇所でもあります。そういう意味でも早めのリフォームを検討してみるとよいでしょう。
キッチンは水道管や排水管が絡んでくる場所なので、移設は難しそうに思えますが、意外にも簡単に行える部分です。特に1階に関してはほぼ問題がないので、比較的自由に移設や増設を考えてもよいでしょう。
2階は建物の構造によって要相談となりますが、問題なければ1階から2階にキッチンを移設するといったような大胆な移動も可能です。
浴室のリフォーム時期とできること
浴室のリフォーム時期の目安も、キッチンとほぼ同時期で10~15年です。湿気が多く、毎日使う場所なので、カビや汚れ・破損・排水口のつまりや流れの悪さなどを感じられるかもしれません。浴室は特に生活の衛生面に直結する場所なので、その点での不具合を感じたらリフォームを検討してもよいですね。
また、これもキッチン同様、移設も増設も比較的簡単に行えるものです。2世帯住宅にするなどで2階にも浴室を、といったリフォームも難しくありません。
トイレ・洗面所のリフォーム時期とできること
トイレと洗面所は、設備交換がメインになる場所ですね。便器交換の目安は10~20年、洗面台も同じくらいです。ただしトイレの場合は水漏れなど、洗面台の場合は鏡の破損や汚れのひどさといった不具合には、特に気をつけておきましょう。
トイレと洗面所も、キッチン同様に移設や増設を難しく考えなくてもよい場所です。
壁紙のリフォーム時期とできること
壁紙の貼替目安は5~10年です。日焼けやタバコの煙など、少しずつ汚れやにおいが蓄積していたり、変色があったりもします。気になったらリフォームを考えましょう。
壁紙の貼替は、部分的なものから全般的なものまで対応してもらえますが、できるだけ「一部のみ」の貼替は避けた方がよいでしょう。
なぜなら、新しい壁紙と古い壁紙で色合いや質感が変わってしまって目立つからです。
フローリング・畳のリフォーム時期とできること
フローリングは、色合いによっては特に汚れやキズが目立つ箇所です。踏むときしむ音がすることもあるでしょう。そういったものを踏まえて、大体10年くらいがリフォームの目安になります。
畳は一般的に3~5年ほどで裏返し、10年くらいで新しいものに替えるというサイクル。ただしこちらも汚れやキズが気になるようなら、早めのリフォームでもかまわないでしょう。
一口にフローリングといっても素材にはさまざまな種類があり、複合フローリング・無垢フローリング・コルク・フロアタイル・クッションフロア・カーペットなど、用途や環境に合った床材でのリフォームが可能です。
窓まわりのリフォーム時期とできること
窓まわりのリフォーム目安は20~30年です。ただし窓やサッシが老朽化してくると、隙間風や結露が深刻化してきてしまうため、目安時期より早くそのような現象が気になり始めたら、すぐのリフォームを検討しましょう。
窓ガラスが割れた・サッシがスムーズに動かない・窓枠が外れているなどの状態でも同様です。
窓の移動・増設も、実は比較的容易です。外壁など建物の強度に影響のない範囲であれば、窓を増やしても問題ないのです。窓の大きさを変えることも可能です。ただし、建物を支える部分の壁に窓を増やすとか、大きくするといったことは不可能です。
このとき、サッシを断熱性のあるものに替える、内窓(インナーサッシ)を追加して二重窓にするといった方法で、窓の断熱性を上げることもできます。
外壁・屋根のリフォーム時期とできる時期
外壁のリフォーム目安は15~20年です。日光での色あせや変色が直に出る部分ですが、見た目の問題だけでなく、ひび割れが進んで劣化が激しくなると、そこから雨が侵入し屋内にも影響が出てくる部分です。
屋根のリフォーム目安は瓦屋根であればもう少し長くて、20~30年。金属屋根であれば10~15年です。
外壁も屋根も、劣化が軽度であれば塗装のみでの補修で対処可能ですが、雨漏りするほど進んでしまうと「カバー工法」「貼替」「葺替(屋根の場合)」という大掛かりな対応が必要となってしまうため、日頃からよく見ておくことが重要です。
また、壁や屋根に断熱材や断熱パネルを入れることで、断熱性を上げることも可能です。コストの観点からいくと、塗装リフォームの際に一緒にやっておくことを検討してもよいですね。
間取り変更のリフォーム時期とできること
間取り変更が必要になる時期は、まさに人によって差が激しい部分でしょう。そのままでかまわない家もあるでしょうし、家族構成が変わった・老後に備えてバリアフリーにしたいなどという要望が出てきてからリフォーム・リノベーションを考える家もあるでしょう。
小規模なリフォームから大掛かりなリフォームまで多様なのも、間取り変更の特徴ですが、比較的自由に改良することは可能です。
トップライトや吹き抜け・ウッドデッキを造りたい
トップライト(天窓)や吹き抜けは、建物の構造強度次第で問題なく造ることができます。耐震性を十分確認してから設けるようにしましょう。
ウッドデッキに関しては、屋根も柱も壁もないものであれば住宅の延床面積に影響しないため、気軽に造ることができます。
平屋を2階建てにしたい
平屋(1階建て)の住居を2階建てにする工事は、増築することになるため、壁や柱を強化しながら進めていくかなり大掛かりなリノベーションにはなりますが、比較的簡単に実現できます。
しかし同じ増築であっても、もともと2階建ての建物を3階建てにすることは、そもそもの基礎の造りからして違うため難しいといわれています。その点には注意が必要です。
まとめ
リフォーム・リノベーションには「適切な時期」というものが存在します。不具合は感じるものの生活には支障がないので放置していたら、大掛かりな修理が必要な事態にまで発展してしまった…ということにもなりかねません。そうなると余計な費用がかかってしまう恐れもあります。
時期をうまく見極め、また工事でできることとできないこともあらかじめ知っておき、満足のいくリフォーム・リノベーションに臨みたいですね。